Technology / wisdom
白鳳社寺には、初代、二代目から続く、細やかな仕事と
三代目が奈良の薬師寺復興や鵤工舎での修行を通して、
西岡常一や小川三夫から学んだ堂宮大工としての知見を融合した仕事の流儀があります。
ここではその一端をお伝えします。
唐破風・加工
屋根の内部
手加工部材の建前
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天然乾燥
白鳳社寺で使用する木材は主に天然乾燥材を使っています。 機械乾燥は木材に無理をさせながら乾燥させた木材です。 これでは木材の状況が変わってしまいます。 例えば、電子レンジや蒸し器にいれた野菜を思い出してもらえればいいかもしれません。
新築と文化財修理
白鳳社寺の仕事の実績は、新築工事の件数が多いです。
この白鳳社寺の特長の理由は西岡常一より言われていた話がありました。
「堂宮大工は木の癖を組むことが仕事。文化財修理は切った貼ったが多いので、文化財の仕事には手を出すな。」
白鳳社寺では、その教えを守り、可能な限り新築工事の仕事に取り組んできました。
手加工の技術
白鳳社寺では大型機械の導入を行わず仕事を行ってきました。
大型機械を主力にすると、早くて仕上がりにムラはありません。
素晴らしい面も多くあります。
ですが、白鳳社寺が大切にしているのはこんな事です。
大型機械のように機械のパワーで木の繊維をちぎるように加工するのではなく、良く研いだ切れ味の良い刃物で木の繊維を切っていく仕事。
大型機械に合う木材のみを使用するのではなく、それぞれ個性を持つどんな木も大切に使う仕事。
白鳳社寺はこのような仕事を大切にしています。
原木調達
長い期間、風雨に耐える建築を作るために木が持っている癖(個性)を見抜き、適材適所に配置し、組み上げていくことが必要不可欠です。木の癖は、伐採、製材と人の手が入り加工が進むほど、見抜きづらくなります。
本来であれば西岡棟梁の口伝にあるように、「伽藍造営の用材は木を買わずに山を買え」という言葉の通り、山の環境、土の状態を見ながら用材の癖を考え選定するのがよいでしょう。
しかし、現代においては、山を買うということが困難であると言わざるを得ません。
白鳳社寺では、少しでも木の癖を見抜き適材適所を実現するために、原木調達を行っています。
金物を使わない
白鳳社寺は仕口継手に金物を使いません。
昔ながらの木と木で繋ぐ方法を採用しています。
建築物の接合部を木のみで作ると地震や強風のエネルギーを木の変形で受け止め吸収します。
ご安心を。変形した部分は時間の経過とともに元の形に戻ってきます。
また金物を使うと、その部分で結露が発生しやすくなります。
結露が発生すると金物が腐食したり木が傷んだりします。
このような事情から、白鳳社寺では、仕口継手には金物を使用しておりません。
編み込むように作る
軸組の建前を見ていたご住職よりこんな言葉をいただきました。
「そんなに太い柱梁をカゴでも編むようにして組んでいくんですなぁ」
白鳳社寺では、建物を建てるときに仕口継手の位置が部材ごとに重ならないように組上げて行きます。
継手仕口をずらして架構の設計をすると現場で組み立てるときに組みにくい架構になります。
先代はよく言っていました。
「伝統建築は組みにくいほど壊れにくい」と。
設計段階より組み立て安さよりも加工の堅固さを優先するのが白鳳社寺の仕事です。
軒反りの美しい曲線を維持し続ける
日本の伝統建築物が持つ美しさの特徴に軒先の曲線(軒反り)があります。
その曲線の美しさを支えている部材の一つに桔木という部材があります。
中世に桔木が誕生してから、軒先を支える部材が垂木から桔木になり、垂木の役割は構造材から装飾材になりました。
日本建築の軒は出寸法が大きく片持ち構造な上に、重い瓦まで載っています。桔木だけで支える場合、年月を経るにつれて自らの重みで軒先が垂れ下がってきます。
白鳳社寺ではこの軒先の曲線を建立時のまま維持できるように架構にもこだわりを持っています。
そのこだわりとは、垂木1本1本を装飾材としてだけでなく構造材として荷重を負担させ、桔木だけに頼ることなく垂木も同時に軒先を支える、というものです。